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従業員が50人になりそうなとき、何が変わる?|産業医・衛生管理者など、同時に発生する4つ

この記事のポイント

  • 常時50人以上になると、産業医・衛生管理者・衛生委員会・労基署への報告の4つが同時に発生します
  • 50人は、継続して雇用し常態として使用しているかで数えます。ストレスチェックの受検対象者とは別の基準です
  • 数えるのは会社全体ではなく事業場ごとです。ストレスチェックは、50人になる前から始めておけます

事業場の労働者が常時50人以上になると、4つの義務が同時に発生します。産業医の選任、衛生管理者の選任、衛生委員会の設置、そして労働基準監督署への報告です。ストレスチェックは、その前から始めておけます。

この記事では、50人を超えたときに何が変わるのか、50人はどう数えるのか、会社全体ではなく事業場ごとに数える理由、そして50人になる前に先にできることを解説します。

そもそも、事業場の「50人」とは何の線?

50人は、産業医などの安全衛生の体制づくりが義務になる線です。 数えるのは会社ではなく「事業場」の労働者です。

従業員が増えて50人が近づくと、人数の数え方や、いつ何をすればよいのかが気になります。ストレスチェックも、この線と関わりがあります。

現在、50人未満の事業場のストレスチェックは努力義務です。2028年4月1日からは、50人未満の事業場も実施が義務になります。

50人を超えると、同時に発生する義務は何?

4つの義務が同時に発生します。 産業医の選任、衛生管理者の選任、衛生委員会の設置、労働基準監督署への報告です。

義務根拠
産業医の選任労働安全衛生法 第13条 第1項
衛生管理者の選任労働安全衛生法 第12条 第1項
衛生委員会の設置労働安全衛生法 第18条 第1項
労働基準監督署への報告(ストレスチェックの実施状況)労働安全衛生規則 第52条の21
労働基準監督署への報告(定期健康診断の結果)労働安全衛生規則 第52条

ポイント:ストレスチェックの「報告」も50人から

50人未満の事業場には、労働基準監督署への報告の義務がありません(小規模事業場マニュアル p.6)。報告が必要になるのは、常時50人以上の労働者を使用する事業場からです(労働安全衛生規則 第52条の21)。

あわせて、定期健康診断の結果の報告も、常時50人以上の労働者を使用する事業者の義務になります(労働安全衛生規則 第52条)。

4つは同じ時点で発生します。50人を超える時期が近づいたら、4つの体制づくりを並べて計画しておくと、順番を整理しやすくなります。

50人はどう数える?受検対象者とは別基準なのはなぜ?

50人は「継続して雇用し常態として使用しているか」で数えます。 週1回のパートも1人です。

小規模事業場マニュアル p.6 は、50人の判定には、ストレスチェックの対象者のように契約期間や週の労働時間の要件を使わず、常態として使用されているかどうかで判断する、としています。労働時間が短いアルバイトやパートタイム労働者、派遣先の派遣労働者であっても、継続して雇用し常態として使用していれば、人数に含めます。

ストレスチェックを受けてもらう「受検対象者」は、別の基準で決まります。契約期間と週の労働時間の2つの要件を満たす人が対象です(労働安全衛生規則 第52条の9、小規模事業場マニュアル p.6)。

何のための数か数え方
事業場の労働者数50人以上かどうかの判定継続して雇用し常態として使用しているか
受検対象者誰に受けてもらうか契約期間と週の労働時間の2つの要件

ポイント:2つの数は一致しなくてよい

50人以上で義務が発生しても、受検対象者はそれより少ないことがあります。これは正常な状態です。報告書に書く在籍労働者数は、受検対象者の数です。50人の判定に使った数ではありません。

派遣労働者はどう数える?

派遣労働者は、派遣元と派遣先の双方で数えます。 二重に数える扱いです(ストレスチェック制度関係Q&A Q18-1・Q18-2)。

ただし、ストレスチェックの実施義務があるのは派遣元です。派遣先には実施義務がありません(Q18-2)。派遣先は、50人の判定には含めるが、ストレスチェックの実施義務は負わない、と整理しておくと混乱しません。

会社全体ではなく、事業場ごとに数えるのはなぜ?

50人は、会社全体ではなく「事業場」ごとに数えます。 事業場かどうかは、場所的観念で判断されます(発基第91号)。

発基第91号は、事業場の判断について、次のように示しています。

一の事業場であるか否かは主として場所的観念によつて決定すべきもの

同じ場所にあるものは原則として一つの事業場、場所的に分散しているものは原則として別の事業場、という考え方です。

ポイント:小さな出張所は上位とまとめることがある

場所が離れていても、出張所や支所などで、規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力などから見て一つの事業場という程度の独立性がないものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場として扱われます(発基第91号)。独立性を判断する人数の基準は、通達に書かれていません。判断に迷う場合は、管轄の労働基準監督署などに確かめてください。

法人合計が50人以上でも、義務が発生しないことがある?

あります。 法人全体の人数が多くても、一つひとつの事業場が50人未満なら、産業医・衛生管理者・衛生委員会は、どの事業場にも発生しません。

たとえば、20人ずつの3つの事業場を持つ法人を考えます。法人全体の人数は50人を超えます。しかし、数えるのは事業場ごとです。どの事業場も50人に届かないため、次の3つはすべて不要です。

  • 産業医の選任(労働安全衛生法 第13条 第1項)
  • 衛生委員会の設置(労働安全衛生法 第18条 第1項)
  • 衛生管理者の選任(労働安全衛生法 第12条 第1項)

逆に、ある事業場が50人以上になれば、その事業場には義務が発生します。他の事業場が小さくても、その事業場には4つが当てはまります。

50人になる前に、先にできることは?

ストレスチェックは、50人になる前から始めておけます。 50人未満の事業場でも、現在は努力義務として実施できます。2028年4月1日からは義務になります。

先に進めておくと役に立つことは、次のページにまとめています。

→ ストレスチェックは2028年4月から50人未満も義務化|何が変わり、何が変わらないのか

50人を超えると、これらの意見聴取は衛生委員会で行う形になります。先に始めておけば、4つの義務への対応と時期が重なっても、ストレスチェックの運用は続けられます。

まとめ

事業場の労働者が常時50人以上になると、産業医の選任、衛生管理者の選任、衛生委員会の設置、労働基準監督署への報告の4つが同時に発生します。50人は、継続して雇用し常態として使用しているかで数え、週1回のパートも派遣労働者も含みます。数えるのは事業場ごとで、法人全体の人数ではありません。

ストレスチェックは、50人になる前から始めておけます。まずは、自社の人数を事業場ごとに数え直すことと、実施者をどう確保するかを考えることから始めてみてください。2028年4月からの変更点は、次のページにまとめています。

→ ストレスチェックは2028年4月から50人未満も義務化|何が変わり、何が変わらないのか

よくある質問

Q. 週1回しか来ないパートも、50人に数えますか?
A. 継続して雇用し常態として使用していれば、数えます。契約期間や週の労働時間では判断しません(小規模事業場マニュアル p.6)。
Q. 派遣労働者は、派遣先の50人に数えますか?
A. 数えます。派遣元と派遣先の双方で数えます。ただし、ストレスチェックの実施義務があるのは派遣元だけで、派遣先にはありません(ストレスチェック制度関係Q&A Q18-1・Q18-2)。
Q. 法人全体で50人以上なら、すべての拠点で産業医が必要ですか?
A. 必要とは限りません。数えるのは事業場ごとです。20人ずつの3つの事業場なら、産業医・衛生管理者・衛生委員会はどの事業場でも不要です。

参考資料